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12月の古東だより

2023.11.29 古東だより

〜「伝えること」と「伝わること」〜

 何年か前に、『伝え方が9割』という本がベストセラーになりました。内容はテクニック的なものだと記憶していますが、私たちが生きていくにあたって「どう伝えるか」は課題であろうと思います。「伝えた」=「伝わった」とは限らないからです。うまく伝わらなかった、という経験はどなたにもあるでしょう。では、どうしたら正しく伝わるのでしょうか。これから紹介するのは、ある有名なお坊さんから聞いた話です。

 まず、伝える内容です。この内容を伝える側がきちんと理解していないと正しく伝わりません(一つのことを伝えるには、その十倍の知識が必要だと言われています)。そして伝える相手のことをよく知ること。相手によって伝え方は変わります。人によって受け止め方は様々です。さらに同じ相手であっても、今どういう状況にあるのかも考えなくてはなりません。他人の言葉に耳を傾ける余裕がないということもあります。そんな時は少し時間が必要です。そして最後に、伝える側と伝えられる側の関係性です。関係性が悪ければ、どんなに正しいことであっても受け入れてもらえません。

 これはお坊さんが教えを説くときの心構えなのでしょう。仏教をひらかれたお釈迦様は、教えを説く相手をよく知ろうと努力したそうです。まず、相手の言うことを聞いたのです。どんな環境で育ったのか。どんな性格なのか。何に悩んでいるのか。話を聞いてもらった人々は、お釈迦様を心から信頼したのでしょう。相手はお釈迦様の言葉に素直に耳を傾けられたということです。

 現代を生きる我々にも、ヒントになるのではないでしょうか。